歌姫浜崎あゆみ『A BALLADS』誕生秘話

TeamAyuで集計されたアンケートを元に上位の楽曲を収録した『A BALLADS』。詞やテーマを募集し、10万通も届き、『RAINBOW』をどう様に完成させたのか、ジャケット写真の意味やアレンジした楽曲とオリジナルのまま収録した理由についてなど、Ayuの当時のインタビューを元に紹介。



ジャケット写真のテーマである『現在のAyuと過去のAyuが2人同時に存在する』という内容について


Ayu「今の自分が昔の自分を許したコトと、昔の自分も今の自分を許したコトを表現しようと思ったんだよね。よく『癒し』とかって言われるコトもあるんだけど、それはど~なんだろう?今の自分は過去の自分を癒しきれているのかわからないし・・・。許しているのは確かなんだけどね。」


ジャケット写真の過去の自分について


Ayu「ずっと昔、生まれてから今になる直前までだね。ジャケットでは大人のAyuなんだけど、実際はもっと赤ちゃんかもしれないし・・・それくらい昔まで含めてだね。」




アンケートを採ろうと思ったきっかけについて


Ayu「『RAINBOW』で歌詞やテーマを募集したんだけど、今回も『ファンのみんなと一緒に何かできればいいな』って。」


『RAINBOW』の曲を聴いた人たちから歌詞やテーマを募り、それをAyuが読み詞を書くという試みについて


Ayu「今まで直接みんなの声を聞いてそれを詞にするっていうのはやったことなかったし、届けられた声 (歌詞やテーマ)はちゃんと全部聞きたい (見たい)と思ったからね。」


『RAINBOW』の制作過程


Ayu「どうやってつくっていこうかな?って考えて・・・。全体を見て感じたコト、いろいろ思うじゃん、自分なりに。その感じた状態でいつも通りに詞を書こうと思ったんだよね。いろんな人の良い言葉を断片的に繋げていくんじゃなくてさ。そういう形だったらAyuではない。(以下省略)」



更に『RAINBOW』の作詞について語ったAyu


Ayu「今回はみんながくれたワードをうまく拾って繋げていくのが目的じゃなくて、届けられたワードを見て私自身が何を感じたかを詞や曲にするってことをめざしてた。だから、言葉そのものや述べられてる観点は様々に違ってても、そこから結局10万人の人たちはどういう気持ちでいるのかということを大きく読み取っていくと、詞や曲にすべき答えがおのずと見えてきたという感じだったんです。」


『A Song for ×× 030213 Session #2』について


Ayu「サブ・タイトルの『030213 Session #2』はそのまんま(笑)。セッションをやった日付と『#2』はTake-2 (2度目)のモノを採用したってコトを表記したんだよね。レコーディングする前は、『生バンド+1発録りでいこう!』とかみんなで言ってて、『よっしゃ~!』って意気込んでスタジオに入ったんだけど、『生バンドでやろう!』ってアイデアを出した張本人の私がまちがったもんで・・・(苦笑)。で、『もう1回やらせて!』ってお願いして、2回目で成功しんだよね。」



※アレンジ (編曲)は、今は亡き小林慎吾さんです。


『A Song for ×× 030213 Session #2』レコーディング参加者


プログラミング、ピアノ:小林慎吾

ウルリッツァー:友成好宏

ドラム:江口信夫

ベース:エンリケ

ギター:野村義男



アレンジや歌い直した作業について


Ayu「まずもとのオケのまま歌を録り直してみて、これは前のままがいいねとか、このオケは新しくやり直そうとか、ホントやりながら決めていったんです。ひと通りやり直してからもとの形に戻したものもあるし。」


『YOU』の歌声が「かわいいですよね」という感想に対して


Ayu「もうそれは、ビックリしますね。懐かしさを通り越して恥ずかしいくらい(笑)。だから、今の声で歌う『YOU』っていうのも面白いかなぁと思って。」




『HANABI』について



Ayu「アンケート結果で『HANABI』が上位に入っていたのは、スゴクうれしかった。で、どういう形で収録しようか考えたんだけど、最近の曲だし、今回はバラード・ベストだから、原型のままでいこうと。ツアーなんかで披露しているライブ・バージョンはもっとロックでタイムも長くなってて、Ayuはそっちの方が好きなんだけどね。機会があったら是非ライブ・バージョンも聴いてほしいな。」


『M』のアレンジについて


Ayu「以前のは叫びに近かったですよね(笑)。それが今回祈りっぽくなってる。このオケで早くライブをやりたいと思いましたね。アレンジャーさんによってずっと聴いていたい音と歌いたい音に分かれるんですけど、HΛLさんの音はまさに後者。音が絵として浮かぶから、その絵の中に早く入ってみたい、歌いたいってなるんです。HΛLさんは、毎回何も何も言わなくても私が思ってたまんまの音に上げてきてくれるので、盗聴してるんじゃないかっていう疑惑はさらに深まってるんですけどね(笑)。」


『Voyage』について



Ayu「『Voyage』はミュージック・ビデオ『月に沈む』のイメージがすごく強い。曲が流れてるのを聴くと、行定さんの映像と真夏なのに極寒の日光で撮影した日々が浮かんでくるし・・・。ホント『Voyage』はそれだね。あとは去年の年末、いろんな歌番組でちがったバージョンを何度も歌ってたからそういう印象もあるし。」


『key ~eternal tie ver.~』について


Ayu「この曲は、オケを変えようとか、歌入れをし直そうとかいろいろなアイデアがあって、実際作業を始めたりしてたんだけど、久しぶりに自分でオリジナルを聴いてみて、そのままの世界観がいいなって思ったからオリジナルのまま収録したんだよね。(以下省略)」



オリジナルのまま収録された『Dearest』について


Ayu「『Dearest』は2001年の集大成的な曲。これもオリジナルのまま収録してある。最初は、ピアノ・ソロバージョンもいいかな?って考えたりしてたんだけど、この曲は原曲にあるあのイントロ部分のピアノのリフが印象的だから、それを活かすためには『オリジナルのままがいい』、『やっぱりDearestはあのイントロで始まらないと』と考えたんだよね。『Key ~eternal tie ver.~』のところでも話したけど、それと一緒で、改めて聴いてみて思うコト、感じるコトって結構あるんだよね。」



アンケートで第1位だった『Who...』


Ayu「今回の『RAINBOW』は、事前に『この曲はアレンジしなきゃ』って決めたわけじゃなくて、まずはいろんな曲をアレンジしてみて、で、でき上がったモノをAyuやスタッフたちで聴いて、『あ~じゃない、こーじゃない』って意見を交わしたりしたんだよね。で、もとの『Who...』は、打ち込み要素が多い感じがしたから、今回はもうちょっと人間っぽく、手づくりな感じにアレンジしたモノの方がいいなと思ってね。ただイントロのメロは、『Who...』の特徴で、Ayuも好きな部分だから残しておいたんだけどね。アンケート結果の1位が『Who...』だったのはAyuも予想通りだったよ。」



松任谷由実さんの『卒業写真』をカヴァーした思いについて


Ayu「『卒業写真』を歌うのは、確かにものすごいコトなんだろうけど、私はユーミン大好きだし、ユーミンとサザンばかり聴いて育ったから、全然実感がわかないっていうか・・・。ずっと好きで、ずっと聴いたり、歌ったりしてきたから、いつも自分のすぐそばにあったっていうか、そういう図々しい思い?かな(笑)。」


Ayu「レコーディングの時は緊張しなかった。それよりも歌えるコトがうれしかったし、歌っていて気持ちよかった。この曲はヴォーカル・アプローチがちょっとちがうから、『Ayuっぽいけど、でも、ホントにAyuなのかな?』って思った人がいたみたいだよね。」



現在と過去が共存した珠玉のバラードが納められたアルバム『A BALLADS』。ジャケット写真からアレンジまでAyuの拘りが詰まった作品になっている。

浜崎あゆみ Ayumi Hamasaki

Asiaが世界に誇る歌姫浜崎あゆみ