歌姫浜崎あゆみ『A BEST』誕生秘話
株価を大きく動かし、更に雑誌40誌の表紙を飾り、予約の長蛇の列が出来、発売日はCDが一番売れた日となり、作品自体も社会現象を巻き起こした『A BEST』。発売から15年以上も経過しているにも関わらず配信チャートで月間1位となり、年間チャートの上位に入る程、現代も売れ続けている音楽史に残る伝説のベストアルバムについて迫ります。
『A BEST』の題名の由来について
Ayu「『インパクトが強い&わかりやすい』って理由からだね。あと、Ayuのことを知らない人が見ても、『浜崎あゆみっていう人がベストを出したんだ』ってことが『ひと目』でわかるように」
『A BEST』について
Ayu「『A BEST』は、『デビューしてからの3年間をまとめた作品』って言うよりは、『自分が生まれてから2000年まで=20世紀を集約した作品』だと思ってる。だから、19枚目のシングルをただ単に収録しただけじゃなくて、アルバムからも曲を出したり、数曲を歌い直したり・・・今までの自分=浜崎あゆみをわかってもらう作品としていいモノが出来たと思うよ」
ベストアルバムにデビュー曲を収録しなかった理由
Ayu「『A BEST』っていうタイトルを聞いた時には、当然『poker face』からなんだろうなって想像するだろうし。でも、今回、Ayuが決めたテーマは『どの曲を聴いても耳馴染みがある』だったから。それに、『poker face』や『YOU』、『Trust』。デビュー1年目に出したシングルは、まだ探りながらやってた部分も多いし、特にこれじゃなきゃいけないっていうよりは、どれを入れてもそんなに伝えたいことは変わらないと思ったんだよね、聴く人にとって。で、デビュー曲から3曲の中で『Trust』を選んだ。今回は、全体的にそういう選び方をしてるかな」
オープニングの『A song for ××』について
Ayu「最初の曲は『A song for ××』しかないって思ってた。初期の浜崎あゆみは全てそこに集約されてるし。『A song for ××』を入れたことで、それ以前に出したシングルで伝えたかったことっていうのは、大体わかってくれたと思う。今までAyuを全く知らなかった人たちも・・・。『Trust』と『Depend on you』は、それをもっとわかりやすくするために入れたって感じかな」
『A Song for ××』『Trust』『Depend on you』の3曲は今回新たにレコーディング。これらを歌い直した理由について
Ayu「当時の音源たちは既に1度CDになっていて、CD屋さんに行けば置いてあるから、誰でもいつでも聴けると思うんだよね。だけど、昔の曲を今のAyuのヴォーカル・アプローチの仕方で歌うのは、ライヴに来ない限り聴けないでしょ?ただ、ライヴに来られる人数っていうのは限りがあるし・・・。それに、ライヴはよっぽど興味がなければ足を運ばないじゃない(笑)」
Ayu「そいう部分(気持ち)からかな?今のAyuの感じ=ヴォーカル・アプローチを気楽に、気負うことなくつかんでもらいたい、そいう作品にしたいって思ったんだよね。あとさ、サード・アルバム『Duty』ぐらいから曲を書く人間が変わったりもして、単純にスゴク変わったでしょ?今でもそうなんだけど、その頃から新しいことをやろうとしてる自分がいて、音的にもそれまでとはちがったモノを・・・と思ってやり始めたから、それら全てを単純に並べた時にその3曲が聴き難かった。だから歌い直したんだよね」
歌い直しの作業について
Ayu「新曲のレコーディングとはちがって。ヴォーカルもひとつの楽器として、全部含めてその曲だって記憶をしてるし、昔の自分のヴォーカル・アプローチの方法がインプットされてるからね。それに、ヴォーカルだけ録り直すのは、例えばオケが出来上がってるのに、ギターだけ変えて下さいって言ってるようなものだしね。あと、その他の楽器に今のヴォーカルをどう調和させていけばいいのかもわからなかった。だから初めはすごい違和感があったし、『やっぱりちがうのかなぁ?』って思うことも何度かあった」
収録されなかった幻の3曲についての質問に対して
Ayu「ホントはあと3曲くらいレコーディングしてたんだけど、結局、使われなかった。でも、何で知ってるの?(苦笑)。その(収録されなかった)3曲はね、ちゃんと出来てるんだけど、何かがちがうっていうか・・・聴いてくれる人が違和感なく、自分のヴォーカルがオケのジャマをして足を引っ張ることがなく、聴いてもらえるかな?って自分自身納得出来るレベルにまでは到達しなかったんだよね」
完成しているのにあえて収録しなかった3曲について
Ayu「最初から(収録されている)3曲だけを歌い直そうと思ってたわけじゃないんだよね」
ジャケット写真について
Ayu「オリジナル・アルバムは、その時々、時代を反映させたいというか『Ayuを見てその時の現象がわかる』みたいな感じにしたいんだよね。例えば『Duty』だったら、『そーいえばあの時、豹柄流行ってたよねぇ』って言えるように・・・。ただ、ベストっていうのは、いつのモノでもないって言うか、いつ聴いてもベストはベストでしかないから。だから、流行り廃れのないモノ、時代を感じさせないシンプルなモノにしたいなぁと思ってモノクロにしたんだよね」
紹介元:【2001年4月号 通巻第159号 2001年4月30日発行】
世の中が浜崎あゆみで溢れ名実共に頂点に君臨したAyuの心境
Ayu「それもアルバムを発売をして、その反響を得るまでわからなかったんですよね。だからもう、出すばっかり。全然吸収してなかったっていう。出して出して出して出して・・・って。気がついたら、世に出すまでをもう凄い自分では、『完璧だぁ!』って思うまで作り上げて出すんだけど、出した後の事を全く無視してしまってて。その時点で浜崎あゆみがどのくらい認知されてるのかとか、そういうものがなんにもわからんなかった」
ランキングで1位となり有名になって行く自分について抱いた感覚
Ayu「うーん、だからね、よくわからなかったっていうか、嘘でしょ?みたいな。ほんとうにAyuにしてみれば、なんていうの?渋谷をフラフラフラフラ、六本木をフラフラフラフラフラしてて、1stアルバムを出すまでっていうのは、なんか3ヵ月ぐらい?みたいな感じなんですよね。昨日だってあそこのクラブ行ってたはずなのに、オリコン1位?みたいな感覚」
ファッションリーダーとなり全てのランキングで自分が1位になる事についての心境
Ayu「うーん・・・・・なんか・・・・なんだろう・・・・まあ昔から洋服は好きで、いつの時代もファッションリーダーと言われるアイドルのような人たちがいて、自分もそれを真似してきたわけで。で、どっかでああいいなあって思ってたんだけど、いざこう自分がそういう風になってしまって、どんな雑誌を見てもなんか、Ayuみたいなのがいっぱいいて、で、ランキングをやってると必ず自分が1位で。『おしゃれだと思う有名人は?』『浜崎あゆみ』、みたいな感じになってて。なんか・・・うーん・・・なんだろう、なんつったらいいのかなあ。なんか恥ずかしいんだよね、だから。知らないお店に食事に行くのも恥ずかしいような感じ。この顔を持って、こう、行けないんだよね、凄く」
紹介元:【2001年4月号 第15巻第5号通巻201号 】
爆発的大ヒットとなった『A BEST』の発売日について
Ayu「最初はほんとに知らなかった。スタッフも発売日を決めた時点では知らなかったし。後から『発売日を変えようか』って話も出たけど。この日に出すって1度決めたし。『このままで』って」
知らない人を怖がっていた時期
Ayu「友達と遊んでいるときに、『この子、私の友達なんだ』って紹介されても全然しゃべれなかった。初対面の人をすごく警戒してたんだよね。『私をどう思ってるんだろう? きっとあんまりよく思ってない』って、Ayuのほうが勝手に先入観を抱いちゃってた」
素直にさせてくれた存在について
Ayu「やっぱりAyuの歌を聴いてくれるみんなのおかげだと思う。デビューしたところは、自分が何のために歌うのかわからなかった。でも、『みんなと同じ気持ちを分かち合いたいからなんだ』って。それが初めてはっきりわかったのが『A song for ××』を作ったとき。だから、あの曲を『A BEST』の1曲目に入れたんだよね」
ハイペースで発売している事について
Ayu「デビューから今まで振り向く間もなく走ってきて。今もすごいハイペースに作品をリリースしてて。正直『疲れてもうダメかも』って思ったこともあるけど。Ayuの歌に救いを求めてくれる人がいる限りは、今のペースで音楽を作っていきたい。どこまで走っていけるかわからないけど(笑)」
浜崎あゆみの役割を終える日
Ayu「Ayuが役割を終える日が、いつ来るのかは分からないけど。いつ来ても後悔が残らないように、毎回1曲1曲をベストをつくして作って、歌って。挑戦し続けるのが、Ayuは好きみたいだし(笑)。『浜崎あゆみは、まだまだすごいことをやってくれる』って、Ayu自身がすごく期待してるんだよね」
紹介元:【2001年5月12日増刊号】
『A BEST』は、『A Song for ××』から始まり、まさにAyuの歴史そのもの。少女から歌姫となり、おとぎ話の様な現代のお姫様の人生を体現したAyuの『A BEST』が伝説となるのは必然だったのかもしれない。
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