歌姫浜崎あゆみ『RAINBOW』の誕生秘話


アジア七ヵ国で同時発売され、初の英語詞を使用した事で大きな話題となった2002年12月18日に発売された『RAINBOW』。

2002年は、アジア最大の影響力を持つ歌手として表彰され、TIME誌やVOGUEの表紙となり名実ともにアジア史上最大最強の歌姫となったAyu。

Ayuは、自信の楽曲の全てを作詞してますが、アルバム『RAINBOW』にはCREA名義で作曲した楽曲も多く収録されています。

レコード大賞を受賞した大ヒット曲も収録されたアルバム『RAINBOW』について本人の歴代のインタビューを紹介する形で作品の深みを知り、同時にAyu自身の思想にも迫ります。



題名『RAINBOW』は『浜崎あゆみ』を表現したものだった


Ayu「虹っていわれると、あの7色で、こうアーチっていうのがパッと頭の中に浮かんでくるでしょ。虹っていわれて、『何それ?』っていう人はいないじゃない。皆わかるでしょ、絶対に。そんなにだれでも知ってるのに、だれひとり触ったこともなければ、虹の始まりも終わりも見ことないんだよね。だから、私なんかは、『虹って、ほんとにあるのかな?』と思っちゃって・・・。そう思ったときに、世間の人たちから見れば、『私も、そういう存在なのかな?』と思ったの」



更に題名に込めた強い思いについて語ったAyu


Ayu「それとさ、虹を見て悲しくなる人っていないじゃん。『あっ、虹だ!』って、どこかうれしい気持ちになるし。私はそういう風になりたいっていうか、そういう存在でありたいって思ってね。すぐ隣にはいられないけど、みんな私を見て、虹を見た時のような気持ちになってくれたらいいなっていうかさ。で、タイトルを『RAINBOW』にしたんだよね。」


歴代のアルバムから進化を遂げた『RAINBOW』


今作で今までよりずっと『カジュアルに作品に接している』と思ったという質問に対して

Ayu「たとえば『Duty』とか『I am...』とか『A song for ××』とか、そういうのはもういらないと思ったの。『私がね、私がね、~こうなの~だからこうだってわかって』とか、もう今さら言わなくてもいいと。なんでかっていうと今まで私が一生懸命埋めようとしていた自分本来の姿と世間が思う浜崎あゆみとのズレとか、そういうのは生じるものなんだよって思うようになったから」


世間が思う浜崎あゆみとのズレが気にならなくなったのか?


Ayu「そう。最近は、すべてを語ることだけが本当のことを伝えるってことじゃないと思うようになってる。だって、いつも自分の思ってることすべてを日本中に伝えられてるのかっていったら、そうじゃないもの。それと、私は見てくれたり聴いてくれたりする人たちにとっての夢とか希望とか、そういう存在でありたいと願う気持ちが強くなってる。ってことは、そこで伝えなくてもいいことが出てくるわけじゃない?」



自由について表現したAyuが作曲した楽曲『Heartplace』の誕生秘話



Ayu「NYからの帰り、海外の仕事のときにいつも同行してもらってるアメリカ人のスタッフとずっとしゃべってたんだよね。彼は日本人の私とやっぱり基本的な感覚が違ってるから面白くて、いろんな言葉について、日本語ではこうだけど英語ではこうなんだ、みたいな話をしてて。そのとき、どこの国にいても、人間て結局、自由であることが一番の喜びよねという話になった。当り前のように感じてしまいがちだけど、自由ってスゴいことじゃん!と。つまり、どんな欲でも自由というものがあるから、満たしたいときに満たせるわけじゃない?それって誰もが共通して求めてるものじゃないかなと思ったの。そのときに作りかけだった『Heartplace』のことを思い出して、よし、自由について書こう!と思った」



2002年世界各国に渡り感じた英語の必要性


Ayu「今年はいろんな国に行ったからね。七都市くらいかな。で、やっぱり世界共通語の必要性を感じた。というか、英語ってスゴいなと思ったんだよね。だって、どこで誰に言っても通じるんだもん」



初の英語詞を使用した経緯


Ayu「いつももどかしいのは言葉だよね。でも、英語があれば、どこかのCMじゃないけど、世界中の人とつながれる。コミュニケーションとれる人の数が一気に増えるじゃない?それをあらためて感じるうちに、自然と書くようになった」

英語詞について

Ayu「日本語では絶対伝えきれないことを一行で言えちゃうのがスゴいんだよね。メロディと感情のバランスとして、ここで言いきりたい!っていうのを可能にしてくれる。そういう部分にはいちいち感動してた」



Ayu作曲『Dolls』と『Close to you』の完成までの道のり


Ayu「この2曲は、作んなきゃという感覚じゃなくて、なんとなくひとりでキーボードを弾いてるときに出来たもの。リズムとベースを入れるくらいでデモにはしてたんだけど、アルバムには入れても入れなくてもいいって感じだったの。まぁでも、スタッフが入れろ入れろと言うんで、じゃあ入れます、みたいな(笑)。(以下省略)」


北野武監督の映画『Dolls』から作られた『Dolls』


Ayu「あれを見て、自分が満たされたとかハッピーな気持ちになったということはまったくなかったけど、でもなんか、すごく綺麗なものを見せてもらったという印象があった。で、『綺麗な花を咲かせましょう』というフレーズが出てきて、そこから広げていった。日本というものを大事にしている映画だったから、日本語の美しさを表現してみようと」



もしかしたら収録されなかったかもしれない『Close to you』

Ayu「これはね、収録されないんじゃないかという噂が99%まで広がってた(笑)。最後の1%で奇跡が起きて入れられたけど」

Ayu「声を一本で入れて、すごく生っぽく聴かせたかったのね。でも、この曲自体がけっこう歌いこなすのが難しくて、微妙なニュアンスを出すにはある程度以上ののどのコンディションが必要だった。でも、すっごく素敵なスケジュールだったから(笑)、なかなかのどの調子が整わなくて」



『WE WISH』の歌詞について何故「I WISH」ではなく「WE」という言葉を使ったのかの質問に対して


Ayu「うん?あ、今言われるまで『I WISH』という言葉は私の中にはなかったなぁ。たぶん物事を考えるときに、『私は~』ではなく『私たちは~』とか『人々は~』って思うようになったんじゃないかな。それは最初の方で言ったように、もう『私はね、私はね、こうなの』という発想で何かを表現しようとしてないからかな。あの曲の詞では『私たちは私たち自身でいなければ意味がない』って書いたんだけど、それは『私が私自身でなければ』というのとはニュアンスが全然違うよね。私もそうだし、あなたも、あの娘もそうじゃない?って思ってるんだと思う」


『Over』について


Ayu「これは、なんか冬の歌にしたかったのね。CMJKさんのデモは全然違うイメージだったけど、私としては冬といえばアレンジはHΛLさんでしようという感じがあってお願いしたの。そしたら、まさしく冬!という音になってきて、そのサウンドに引っぱられて詞を書いた。(以下省略)」



『Real me』について


Ayu「曲調はR&B風なんだけど、アルバムの中にそういうのを1曲入れたくて。私はあまりコーラスを厚くいれたりするタイプではないんだけど、『Real me』はその特有の世界からコーラスがバンバン入ってる感じになってる。だから、その作業にスゴク時間がかかった。で、でき上った時『すげぇ、こんなになるんだ!』とか他人事のように思ったりして(笑)。」



『Real me』のPVに出演したTRFについて


Ayu「あと、この曲はプロモーション・ビデオを制作したんだけど、そこにTRFのCHIHARUさんとETSUさんに出演してもらったんだよね。これはダンス・ビデオをつくりたいなって思った時『2人にお願いするしかない!』、『CHIHARUさんやETSUさんに、ぜひダンスのシーンで協力してもらいたい!』って感じで・・・私の中では即決!だった。TRFのみなさんとは、夏にやった『a-nation』がきっかけで、最近接する機会がスゴク多くて、プライベートでも仲良くしてもらってて、『何か一緒にやりたいね』って話しをしてたんだよね。」



『everywhere nowhere』の歌詞の最後について


Ayu「詞は最後だけ『いた』ってなってるんだけど、これは過去形にすることで前を向くコトができるというか、そういう感じにしたかったんだよね。」


『Close to you』のコーラスの入れ方も今までと違いクリスマスのイメージもあってとても幸福感のある曲ですねという質問に対して


Ayu「ホント?今までだったらあの曲でアルバムを締めくくったかもしれないよね。でも、今回はあれに『independent⁺』が続いて」


シークレット・トラック『+』について


Ayu「うん。さっき『作品にカジュアルに接してる』という感想を言ってたけど、アルバム最後の曲順がそれを象微してるかもしれない。って今思った(笑)」



少女から歌姫へ成長し誕生した『RAINBOW』


歌姫として大きな成長を遂げたAyuが生み出した『RAINBOW』。

このアルバムでは、孤独を抱えていた少女ではなく人々に希望を与える存在として成長を果たした歌姫としての浜崎あゆみが詰まっているのである。

浜崎あゆみ Ayumi Hamasaki

Asiaが世界に誇る歌姫浜崎あゆみ